完璧なカノジョの秘密



「私達、一緒にいても、付き合ってても、心が遠いね…っ」

「まりあ、泣いて……るのか?」

もう、きっと信じてくれるって、それを信じる事が辛い。

どんなに大切でも、伝わらない。

立ち上がって、こっちに身を乗り出した清人を制するように、私は言い放つ。


「もう、別れよう、清人」

「っ!?」


清人は、私の一言に絶望したような顔をする。

そして、酷く悲しげに瞳が揺れた。


「お前……本気で、言ってんのか?」

「冗談で、こんな事言ったりしない」


私だって悲しくて、本当は清人と離れたくないよ。


だけど、あれだけ清人を信じて、すれ違っても傍にいるって決めた私の決意も、もうボロボロだった。


傍にいても、大切だから不安になるし、傷つく。

もう、心が壊れてしまいそうで、辛いんだ。


「バイバイ、清人………」


そう言って、私は清人に背を向ける。


今まで、ありがとう。

本当に大好きだったよ……ううん、本当は今も。

だけど、過去形にしないと、今にも「さっきのは嘘だよ」って振り返ってすがってしまいそうだから…。


私はそのまま、愛梨さんの所へ歩み寄る。

そして、そっと手を差し出した。


「立てる?」

「は、はいっ……あの、まりあ様……」


私の手に掴まって立ち上がると、愛梨さんは不安げに、何か言いたそうに私を見つめた。


「友達って言ってくれてありがとう。すごく嬉しかった」

「まりあ様……」

私が笑みを浮かべると、愛梨さんは少し嬉しそうに笑う。

そして、私が何も言わないでいると、愛梨さんはそれ以上は突っ込んでこなかった。