完璧なカノジョの秘密



「だから、こんな怒ってんだろーが!お前の事信じてたから、こんなっ……」


信じてた……そっか、もう過去形なんだね、清人。

それに、本当に信じてたのかも分からない。


私は俯いて、泣き顔を見られないように隠した。

あぁ、本当に惨めだし、大好きな人に疑われるって、こんなに辛い…。


「違います!まりあ様はっ……」

「いいから!!」


私は、愛梨さんの言葉を遮った。

自分でも驚くくらいに大きな声が出て驚いたくらいに。


「もう、誤解を解くとかそういうレベルの話じゃないよ…」


きっと、これは良い機会だったのかも。


私達、信じてるって言葉でいいながら、本当は不安でたまらなくて、信じたいっていう願望でしかなかったんだ。


清人も、私も……きっとこれで分かったはず。


「私達、もうきっと無理だよ……っ」


自分で言った言葉が、静かに震えた。

それに、清人が息をのんだのが分かったけど、私は続ける。


「こんな……すれ違って、もう戻れないとこまで来ちゃった…」

すれ違った合間に出来た溝は、塞がらないほどに開いちゃったんだよ……きっと。


「……何 言って………んだよ?」


涙でぐちゃぐちゃな、酷い顔だったとは思う。

だけど、私は最後に清人の顔を見ておきたくて、顔を上げた。