「有谷君は、私を助けようとしてくれただけ!!大切な友達に、あんなヤツとか言わないで!!」
「まりあ……っ」
泣いてる私に近づこうとして、清人が1歩私に近づく。
私は、それから逃げるように後ずさった。
「まりあ、今のは俺が悪かった……だから、逃げるな」
清人の声が、少し震えていて、その目は不安に揺れていた。
それに、私は金縛りにあったかのように動けなくなる。
立ち止まる私に、清人はゆっくりと近づいて……。
ーフワッ
「悪かった……もう泣くな……」
そう言って、清人は壊れ物を扱うように、優しく私を抱き締めた。
私は、そっと清人の背中に手を回す。
すると、あんなに怒っていたのが嘘みたいに、清人に触れられた嬉しさでいっぱいになる。
清人、私の大好きな人……。
少しでも離れるなんて、やっぱり無理なんだ。
「言い過ぎた、だから俺から逃げるな……頼むっ…」
「清人っ………」
清人、お願いだから、私を離さないでよ。
逃げたくなんかない、本当は追いかけてほしくてそうしてるんだよ。
こんなに近い距離にいるのに、どうしてこんなに不安が消えないの…。
清人の考えてる事、こうして触れ合っている所から、テレパシーみたいに伝わってきたらいいのに…。
それなら、こんなに不安な気持ちにならないのに…。
そう思いながら、私達は昼休みの終わる鐘が鳴るまで、ただ抱き合っていた。


