「お前、何してんだっ……昼も、理科室来ねーし!」
清人……。
そっか、清人理科室行ったんだ……。
ずっと美樹さんといたんじゃないって分かって、少しホッとした。
「っ………」
それと同時に、どんな顔して清人を見ていいのか分からなくて、私は俯く。
すると、繋いでいた有谷君の手に力が入ったのに気づいた。
驚いて有谷君を見上げると、有谷君は私を笑みを浮かべながら見つめてくる。
「まりあ先輩、頼って下さい、俺の事」
「有谷君……」
たぶん、私が清人から逃げたいって言ったら、有谷君は私の手を引いて逃げてくれる。
だけど、それじゃあ、いつまでたっても、私と清人はすれ違って、離れちゃうかもしれない。
別れるなんて、そんな選択肢、私には無い。
ずっと、清人だけが好きなんだもん。
「ごめん、私は大切な人からは逃げられないから…」
「っ!!」
私の言葉に、有谷君は目を見開く。
そして、俯くと、「フッ」と笑った気がした。
え、有谷君………?
「有谷く………」
「じゃあ、泣いた時は、″また″、俺を頼って下さいね、まりあ先輩?」
そう言って、有谷君は私の頬をサラッと撫でて、私達から離れて行った。


