困惑して、私はそこでフリーズしていた。
「まりあ先輩って、強がりですね。一人で泣いてるかもと思って、ここに戻ってきて良かったです」
有谷君の言葉は優しかった。
さっきの、冷たい清人の言葉とは違う。
だからか、有谷君の優しさが堪らなく嬉しかった。
「ごめんなさい、俺が止めたほうが良いって言ったから…」
「そ、それは違うよ!」
私は、有谷君を振り返る。
すると、物凄く近い距離で有谷君と目が合った。
「っ!!」
「有谷君は、私達を助けようとしてくれた!それに、私が決めてやった事だから!」
有谷君は、私を見つめて目を見張っていた。
だけど、私は助けてくれようとした有谷君に、自分を攻めてほしくなくて、必死に伝える。
「まりあ先輩は………なんだ、普通の女の子と変わらないんですね」
「えっ………?」
有谷君は、なんだか意外そうな顔で笑みを浮かべ、私を見つめた。
「泣いたり、かと思えばハッキリ物を言ったり。なんていうか、可愛いです、先輩」
「か、可愛い??」
いや、この状況でそれを言われるとは思わなかった。
私は驚いて目を点にする。
そんな私の顔に、有谷君はスッと手を伸ばし、涙を拭ってくれた。
「わっ、あ、ありがとう……」
「どういたしまして、まりあ先輩」
なんでかな………。
清人の時もそうだけど、有谷君の前でも、私、いつも通りに振る舞えてる。
泣きわめいたから、もう隠す所ないからかも…。


