意気消沈して、私はその後の授業もろくに頭に入ってこなかった。


「…………はぁ」


そして気づけば、昼休みの時間になった。

ため息をつく私の前に、飯島君がやってくる。


「まりあ様、どうかしたの?ずっと疲れた顔してる」

「飯島君……実は……」


と、そこまで言いかけて、口をつぐむ。

飯島君に相談して、巻き込んだりしたら申し訳ない。


ただでさえ、クラスで飯島君が私に話しかける時に、教室の空気が凍る。


私は気にしないけど、飯島君は気にするはず…。


「まりあ様?」

「うーん、ごめんね、なんでもな……」


不思議そうに私を見つめる飯島君に、そう返そうとすると、なんだか教室の入り口が騒がしくなった。


ーザワザワザワッ

「あれって、2年で噂の……」

「確か、モデルやってるんじゃなかった??」


なんだろう、何かあったの?

不思議に思ってるとクラスメートの男子の1人が、私を振り返った。


「まりあ様、2年の有谷 海(ありや うみ)君が来てますよ!」


そして、ありえない事に私が呼ばれた。

来てますよって、知りません、誰!?

視線を向けると、なんだかゆるい天然パーマのふわふわした男子がそこにはいた。


「こんにちわー、先輩!」


パチッと目が合うと、フワッと笑いこちらに手を振る。