「オイ、どーなってんだ」
「それは……どうなってるんだろうね……ははは」
乾いた笑みを溢す私を、清人君がジト目で見つめる。
うん、清人が何か言いたそう……。
絶対バカとか言われるに決まってるから、聞かないけど。
ーグイッ
「とりあえず、2人になれるとこ行くぞ。これじゃ、おちおち話も出来ねー」
「あっ……うん……っ」
2人になれるところ…とか、2人になりたいって思ってくれてるって事??
だとしたら、すっごく嬉しいかも!
「ふふっ……」
「なんで笑ってんだよ、バカまりあ」
私の手を引いていた清人が、なんだか照れ臭そうに私を振り返る。
バカまりあって、清人の照れ隠しなんじゃないかな。
なんというか、名前だけだと気恥ずかしいから…。
そう思うと、なんか幸せすぎて、死にそうになった。
「はぁ……やっと出られたか……」
「う、うん……」
げんなりとした顔を見合わせて、私達は同時にため息をつく。
人だかりを抜けて、ようやく校舎を出る事が出来た私達は、靴を履き替えるのに、繋いだ手を離した。
あぁ、手まだ繋いでたかったんだけど…って、弱気じゃだめだよね!!
そう思って、私は決意する。


