完璧なカノジョの秘密



「やっ、やだ!!これは渡さない!!」

「わっ!」


すると、私が踏みつけていた犯人が、私を突き飛ばして、カメラを抱き抱えた。


「おい、まりあ!!」


ーポスッ!

前につんのめった私を、我妻君がとっさに抱き止めてくれる。

その腕に、私はホッとした。

やっぱり、我妻君は私のヒーローだ。


「こ、これは俺の宝物なんだ!!ぜ、絶対に死守するぞ!!」

「それ、盗撮した写真が入ってるのよね?しかも、今日だけじゃない、被害にあってる子がたくさんいるの!」


私は、我妻君に抱き締められながら、犯人を睨む。


その写真1つで、その子が、その子好きな人が傷つくかもしれない。

花菜さんと我妻君の顔が頭に浮かんだ。


「そんなの、知らないよ!!」


もう、なんなのこの人!!

絶対許さないっ!!


怒りで、1歩踏み出した私の横を、我妻君が通りすぎた。


「え、我妻君……?」


ズカズカと犯人へと歩み寄ると、あろう事か、ドカッと犯人を蹴り飛ばした。


「え……えっ!?」

私は目が点になり、それを呆然と見つめる。


「い、痛いじゃないか!!」

「うるせーよ、変態が」


そう言って、カメラをぶん取る我妻君は、まるでチンピラのよう…。


「や、やめろ!カメラ返せっ!!」

「黙れ、プールに沈めっぞ……」

ーギンッ!!

という効果音がなりそうなほど、殺人的視線を犯人へと向けて、我妻君はカメラを地面に落とす。

そして、それを足で強く踏みつけた。


ーバキッ!!

「あぁぁっ!!?」

「お前、これで終わりだと思うなや。これから、進路指導室で最強先生にしごいて貰えや……」

こ、怖い!!

静かに怒る所が、なお怖いよ!!

あれ、あれれ……?

我妻君って、あんなキャラでしたっけ!?