「危ねぇから!!」
「でもっ、でもっ……花菜さんの写真取り替えさなきゃ!」
「花菜……?」
「今回は、絶対に取り返さなきゃいけないの!!」
ーバッ!!
そう言って、我妻君の手を振りほどき、私は駆け出す。
「まりあ!!っくそ、俺も追いかけっから、お前ら先生呼んどけ!!」
後ろで、我妻君の声が聞こえた気がしたけど、私は構わず走る。
すると、遠くに明らかに全力疾走している、小太りの男子がいた。
ーキラッ
手で、何か光るものが見える。
あの太陽の光に反射してるのは、あれ、カメラだ!!
「ま、待ちなさい!!」
「ひぃぃっ、待たねぇ~よっ!!」
もう!!
なんで小太りなのに、あんなに足早いの!!
それに、スタート遅れちゃったし、どうすれば……。
そう思って、自分の足元を見る。
私は、自分の履いている上履きを見て、良いことを思い付いた。
「これだ!!」
私は、上履きを脱いで、それを大きく振りかぶる。
そして、それはまるでどこかの野球投手のように、片足を上げた。


