「あの男子の為に、戦ってる姿…胸を打たれてしまいました!とっても、優しい方なんだって思ったんです!」
「あ、ありがとう……」
な、なんて良い子なのっ!?
どうせなら、性格悪い嫌な子だったら良かったのに…。
そうすれば、こんなに辛くなかった。
まるで、自分が邪魔者のような気がしてきて苦しい。
こんなに良い子だもん、我妻君だって惚れるよ…。
私、いつまでもこんなズルズル引きずってちゃダメだ。
我妻君だって、普通に話してくれようとしてるし、私は我妻君の恋を応援しなきゃ。
我妻君が、いつも私を助けてくれたみたいに…。
「ありがとう、花菜さん」
そう思ったら、なんだか心から笑えた。
いつか、この失恋の痛みも、和らいでいったらいいな…。
「えっ、そんな!!私はなにもっ!」
と慌てている花菜さんに笑っていると、不意に風が吹いた気がした。
あれ、ここ窓開いてたっけ……?
そう思って、窓へ視線を向ける。
ーパシャリッ
その瞬間、シャッターを切る音が鳴り響いた。


