それからというもの、私は我妻君を徹底的に避けた。
今まで、ファンから逃げていたせいか、逃げの技が磨かれていて、我妻君と遭遇していない。
「まりあ様、我妻君が会いたがってるけど…」
飯島君は、心配そうに私を見る。
飯島君は、私と同じクラスだから、毎日我妻君に会ってるんだよね…。
「そ、そう……」
昼休み、授業の合間に、必ずと言っていいほど、飯島君やクラスの人からそう言われる。
我妻君は、何度も私に会おうとしているけれど、なんだか怖くて会えずにいる。
かれこれ、3日は逃げ続けていた。
「まりあ様、どーして我妻先輩から逃げてるんです?」
別の学年の階に逃げる事が多かったので、唯一愛梨さんは私が屋上の踊り場に逃げている事を知っていた。
踊り場に座り込む私の顔を、愛梨さんは立ったままのぞき込んでくる。
「うーん、顔が、合わせられなくて……」
「どーして?」
愛梨さんのどうして攻撃に、私は項垂れる。
すると、愛梨さんは私の前にちょこんと座った。
「愛梨は、まりあ様が大好きで、これは個人的に許しがたいのですが!」
身を乗り出す愛梨さんに、私は首を傾げる。
なんだろう、愛梨さんは何の話を……。


