ーガサッ!!
あっ、やばいっ……。
すると、思いの外大きな足音が鳴ってしまい、その瞬間、我妻君がこっちを見た。
「………は?まりあ?」
「あっ……ご、ごめんなさい!!」
私は涙を見られないようにすぐに顔を反らして、全速力でそこから逃げ出す。
「おい!!待てって!!」
我妻君がそう叫んでいたけれど、私は無視してそこから逃げ出すように全力疾走する。
こんなの、我妻君に見られたくない。
勘違いした自分が、バカみたいだし、惨めだよ!!
私は、うまく逃げ切り、昼休みは理科室には行かなかった。
こんな時に、運動神経の良い自分に感謝した。
屋上前の踊り場で時間を潰して、授業が始まる直前にクラスに戻った。
なんとなく、我妻君が心配して教室に来てしまうような気がしたから。


