「気のせいじゃね?」 そう言って先に歩いていく我妻君を、皆は呆然と見送る。 もちろん、私も。 「気のせい……なのか?」 「いつもの我妻君と変わらないと思う……たぶん」 猿君と飯島君は首を傾げている。 だけど、私は何かが今日で変わるような、そんな予感があった。 ねぇ、我妻君。 我妻君は、今何を考えてるの? 私は、我妻君を想うと、胸がこんなにも苦しいよ…。 夕暮れに照らされる我妻君の背中に、心のなかでそう問いかける事しか出来なかった。