「ふっ!」
私は、計算通りに跳び箱の着地点に手をつき、バンッと両手でポーズを決めて着地した。
「キャーッ!!」
「オオオオッ!!」
歓声が上がり、拍手の海に包まれる。
「はぁっ、はぁっ………ふうぅ…」
はぁ、良かった……。
ちょっと高かったけど、なんとか飛べたみたい…。
無駄に運動神経が良くて良かったわ。
「ミスパーフェクト、やっぱり健在だな!」
「まりあ様、今日もパーフェクトです!」
生徒達の声が遠くから聞こえる。
ミスパーフェクト……はぁ、私はそんな大層な者じゃない。
これも、お母さんの毎日の剣術修行の賜物だ。
部活も入らないで、家の道場で毎日、毎日努力してる。
勉強だって……テストの前の日は徹夜で、ずっと学年1位を取り続けてるんだから。
でも、それを言えずにいる。
みんなが、完璧な私を求める。
だから私は……本当の自分を、誰にも見せられずにいた。


