「なんでだよ!!」

たった2人だけの教室に鈍い音が響き、机に打ち付けた右拳からじんわりと痛みが伝わってくる。

「なんで。なんで。」

喉元から声を絞り出すたび、頬に一滴熱いものが零れ落ちた。

「………ごめん」

僕の耳に届いた彼女の声は少し震えていて、でもそこから感情を読み取ることはやはり不可能だった。
きっと僕は心の中でこの日が来るのを予感していたんだ。それと同じくらい期待もしていた。色々な考えが交差して、混ざりあって、もう頭は1+1も答えられないくらいに混乱していた。そんな僕が今できることは、感情を全身で表現することだけだった。
彼女は相変わらず無表情だったけれど滲んだ視界から見えた彼女の目はどこか虚ろだった。

この世界が嘘や理不尽で溢れていることは分かってる。でも、これまで彼女と過ごした時間だけは、嘘じゃないと…信じたい。