菜々が同窓会に出席したくない理由……


それは、逢いたくない人物がいる。


濱田渉

高校生の頃白鳥が付き合っていた男である。


父の転勤で、一度は離れた日本。
しかし、水が合わず常にお腹を壊していた。
まして、外国という事もあり、言葉の障害も手伝って、何時しか不登校になった菜々。

見かねた父が、母と一緒に帰国させた。

半年で舞い戻った高校。

菜々が転校した後転入して来たのが濱田であった。



告白は濱田からだった。


大学に進学してからも2人の関係は続いた。
あの日まで……




あの時、自分が冷静だったら、今頃はどうなっていたのかな、と、真っ暗な中浮かび上がる色とりどりの街灯を、車窓越しに見ながら、ふと菜々はそんな事を思った。