「戻って来いよ…」

濱田はそっと菜々の顔を両手で挟むようにして真っ直ぐ見つめた。

「悔しいけど、俺はやっぱり菜々が好きだ」

菜々は?
そう問いかける濱田を、菜々は見つめ返す事が出来ない。

渉ちゃんが私を好き?
あり得ないよ、そんな事……恨まれはしてもそれはあり得ない、菜々は、濱田の言葉を否定した。

「菜々は?」

再び濱田が問いかける。

「………あっ、あり得ないでしょ?
あんな風に渉ちゃんの前から居なくなったんだよ?今更どうしようもないじゃない。
あたし達は…終わったの」

「菜々?言ったろ?俺にとっては進行形なんだ、何も終わった事じゃない」

「まっ…前に進みたいんでしょ?だったら…「だからだよ。俺はやっぱり菜々とがいい。2人で一緒に進んでいこうよ」

どうしようもなく後ろ向きな菜々に濱田は畳み掛ける。

「久しぶりに俺と逢ってどうだった?
俺は菜々と再会して、あの頃より綺麗になった菜々にドキドキした。
俺と話してどうだった?俺は凄く心地良かった」

サイドテーブルに手を伸ばしティッシュを取り菜々に差し出す。

「今、付き合ってる奴居ないんだろ?」

ティッシュを受け取り鼻を押さえながらコクリと頷く。

「ってか、ずっと彼氏居なかったろ?」