「お疲れ様でしたぁ」

定時を迎え、フロアから徐々に人影が無くなって行く。


「どうしよう…」

担任には一言、お疲れ様でしたと言いたいが、同窓会自体には欠席したい。




佐久間からの連絡先もディスプレイに表示されていたにもかかわらず、反芻している間に外電が多いせいで、その他のいずれかに紛れてしまい、欠席したい旨を伝えられず現在に至っている。


元来責任感の強い菜々は、一方的ではあるが、佐久間からの電話に出席の有無を伝えられ無かった事で、取り敢えずは地元に足を向けざるを得ない状況に、嘆いてた。


女子トイレで、メイクを簡単に直し、時間を確認。今からだと到底開始時間には間に合わない。



「遅れて行って入るの、ヤダなぁ……」

でも、開始から時間が経ってれば、盛り上がってて案外気づかれないかも、と案外ポジティブな菜々。
仕方ない、覚悟を決め、定期に現金チャージしていつもとは逆方向の電車に乗る。