「で、今白鳥は何してんの?」

料理を頬張りながらの濱田の問いに、菜々は騒つく感情を抑えながら、ゆっくり答えた。

「企画とか、イベントとか、そんな感じ」

「………って、それだけ?
もっとさぁ、具体的に何かあるだろ?」

付いた肘を滑らせ、転ける仕草をする濱田。

「だって、そんな感じだもん。
うち、人数少ないから、何でもこなさなきゃなんないの!」

もうって言いながら、左に座る濱田を押す。

「危ねぇって、椅子から落ちるって!」

「やだっ、そんなに押してないってば!」

取り留めの無い話で盛り上がる。


何だか、濱田に会うのが億劫で、今日もなるべくなら話さずにいたいと、当初菜々はそう思っていた。
しかし、話してみると、意識し過ぎている自分がバカらしくなる。

濱田は自分に、同級生として話してくれている。
元彼とか、そんな思いで接していた自分が恥ずかしい。

やっぱり濱田との会話は楽しい。

だからどんどんお酒も進む。


「相変わらずだなぁ、この調子じゃ、彼氏さんも大変だ」

お酒の勢いも手伝ってか、菜々はあまり深く考えず答えた。

「だからぁ、居ませんって、もう随分と居ませんって。そっちこそ、玄関開けたら可愛い新妻が待ってたりしてぇ」

クラクラ笑いながら、ビールを飲み干す。