シンデレラ
「気絶してる場合じゃなかったぁ~……
王子様、私帰りますっ!
本当、いろいろありがとうございました!
では!」


シンデレラは、
ベッドから飛び降りて
部屋を出ようとしました。

が、王子様に止められてしまいました。


王子
「待って下さい!
もう少しいるわけには
いかないのですか!?」


シンデレラ
「ダメダメッ!
もう帰らないといけないのです!」


王子
「そんなっ……もしかして……
私じゃダメですか?」


シンデレラ
「ダメも何も……私は、
王子様が思ってるような人じゃないんです!
本当の姿を見たら……
きっと王子様、ドン引きします!」


王子
「そんなにはなりません!
本当の姿がどんなのでも、私は構わない!
もう……あなた以外に考えられないんです!」


シンデレラ
「お……王子様……」


シンデレラは、
王子様の真っ直ぐな気持ちに
心打たれました。

しかし……


ゴーン……ゴーン……


12時を知らせる、
運命の鐘が鳴り響きました。

さぁ、いよいよ魔法がとける時間です!


シンデレラ
「あぁ!もうこうなったらっ……
あーっ、王子様!!あんなところに、
サッカー日本代表のホンダ選手がいます!!」


王子
「えっ、本当に!?どこどこ!?」


と、王子様が油断すると……


シンデレラ
「王子様……ごめんなさいっ!」


王子
「えっ……わっ、何をする!」


シンデレラはベッドのシーツをはぎ、
王子様を頭から包み込み、
グルグル巻きにしました。

するとシンデレラは、
だんだんと元の姿に戻りつつあったのです。


シンデレラ
「王子様……さようならっ……」


もがく王子様に別れを告げると、
シンデレラは急いで窓から飛び降りました!


王子
「待って!くっ……何も見えない!」


王子様がようやくシーツをはずすも──

シンデレラの姿はもう……
どこにもありませんでした。

王子様は、すごく落胆(らくたん)しました。


王子
「……ん?」


と、ベッドの足元に何か光る物が……。

よく見てみるとそれは……

シンデレラが履いていたガラスの靴が、
片方だけ残っていました。
シンデレラは慌ててたので、
靴を置いていってしまったようです。

王子様は靴をそっと手に取り、
いとおしそうに眺め続けました……。