「だからマキが言うように、もしも不破さんに恋愛感情なんて抱いちゃったら、私は、どうしていいかわからなくなるの」
続けて零れた言葉も、今の私の精一杯の本音で、嘘は少しも混じっていなかった。
あのエレベーターの中で、ドキドキしたのも本当。
期待したのも……認めたくないけど、本当だ。
でも、実際は何に期待をしたのかと問われれば、それを説明するのは難しい。
不破さんからのキスを期待したのか、もっと別の、明確な言葉を期待したのか。
それは……どちらも正解で、どちらも間違っているような気がするから。
─── だけど、ただ、1つだけ。
ハッキリとわかることが、あるとするなら。
“ お前のことなら、自分でも嫌になるくらいわかるんだよ ”
それは、不破さんから渡される行動や熱の全てを、少しも嫌だと思わなかったことだ。
不破さんに距離を縮められた時、動揺はしたけど、少しも嫌な気持ちにならなかった。
相手は、尊敬する上司の不破さんなのに。
時々ムカツク、ただの上司の不破さんなのに……
だからこそ私は混乱して。
そんな自分の気持ちに戸惑って、どうしたらいいのか、わからずにいる。



