「…………頭が痛い」
「久しぶりに飲んだからじゃない?」
言いながら、さり気なく水を私の前に置いてくれるマキは優しいのか厳しいのかわからない。
だけど、確実に言えることは、マキの中では何かの答えが出たらしいということだ。
マキの声色が優しくなるのは、そういう時に限るのを私は良く知っている。
そしてそれが、私には不服な答えだということも。
「それにしても、蘭って曲者(くせもの)好きだね。私だったら不破さんじゃなくて、素直に口説いてくれる辰野さんを選ぶけど」
「いや……だから私は、不破さんを選んでないし」
「でもまぁ、もしも私が蘭だったらって考えると、不破さんを選ぶのかなぁ。自分のことを、そこまでわかってくれる人って中々いないし」
「いやいや、だからね?私は不破さんを選んでなんて……」
「って考えると、やっぱり不破さんかぁ」
もうダメだ。
これはもう、何を言っても聞く気がない。
仕方なく諦めた私は、マキが差し出してくれた水の入ったグラスに手を伸ばした。
カラン、とグラスの中で転がる氷。
唇につければ喉の奥を冷たさが通り抜け、熱くなった身体を少しだけ冷ましてくれる。



