ヤバイ。私今、何言った?
「あ、あの、今のは、」
「あのねぇ……。悪いけど、私は蘭の上司の “ 不破さん ” じゃないから」
「……っ、」
「一体どこから、私のことを不破さんだと思ってたワケ?」
今の今まで、アルコールでクラクラしていた頭。
それが一瞬で現実へと引き戻されて、マキのその言葉に、酔いが覚めてしまいそうなほど狼狽えた。
私、今……とんでもない、失態を犯した。
「い、今のは、その……」
「へぇ? 不破さんに、“ バカ ” って言われたんだ? それは日常的な話? それとも、ついこの間のエレベーターでのキス未遂の時に?」
「キ……っ、キス未遂なんかじゃないから……! キスなんて、私は期待してなかったし……!」
「へぇ?ふぅーん?」
「……っ、」
再び目を細めるマキを前に、身体がお酒のせいとは別に熱くなっていく。
ほぼ個室のような状態のスペースでは逃げ場もないし、完全に針の筵(むしろ)だ。



