「じゃあさ、その辰野さんて人は、どうなの?」
華の金曜日、店内は賑わいでいて店員さんが忙しなくオーダーの声を響かせる。
パーテーションで個室風に隔離された席。
磨かれたテーブルに頬杖をついて、枝豆の莢(さや)で私を指差しながらマキが言った。
「辰野さん、明らかに蘭狙いじゃん」
「っ!」
その言葉に、反射的に跳ねる心臓。
「辰野さんは、アリなんじゃない?」
悩んでいる私を見て、半分以上、楽しんでいるであろうマキ。
今やっている仕事の話から始まり、辰野さんの話……お酒の勢いまで借りて不破さんとのエレベーター事件のことまで話してしまった末路がコレだ。
まさかの、恋バナで盛り上がる高校生の放課後状態。
学生が好きな甘いミルクティーがお酒に変わって、内容には青春感ほぼゼロだけど……
「辰野さんは……そういうつもりじゃない、っていうか、リップサービスだと思ってる……」
「リップサービスで手まで握られといて、よく言うわ。相手がイケメンじゃなかったら、私ならセクハラで訴えてるね」
「う……っ」
「辰野さんは明らかに口説きにきてるんだから、まずはそこから認めたら?」



