* * *
「─── っていう感じでさ」
「ふぅん?」
「そりゃ、忘れてた私もバカだけどさ。“ 良い子に待ってろ ”って、何? 私、不破さんのペットじゃないんだけど!」
─── ダンッ!
出張に出る直前に寄越された不破さんの腹立たしい顔と言葉を思い出し、苛立ちとともにテーブルに叩きつけたグラス。
危なげなく中身が揺れて、周りにはアルコールの飛沫が飛んだ。
「……いや、それはペット扱いしてるわけじゃなくて、もっと別の意味でしょ」
「別の意味って、何。こっちの気も知りもしないで、からかったのに?」
「ハァ……そうじゃなくてさ。つまり不破さんは、蘭のことが可愛くて仕方ないってことなんじゃないの?」
「ブ……ッ!」
溜め息混じりに吐き出された言葉に、今度は私が飲んでいた烏龍ハイを噴き出しそうになった。
慌てておしぼりを手に持ち、口元を押さえて前を向く。



