「まぁでも、とりあえずここまで進めとけば、あとはどうにかなるかな。オープンまで残り4ヶ月、スケジュール的には、かなり余裕あるよね」


「はい。サイトも含めて、カフェに必要なツールやサイン関係も今のところは順調に進んでます」


「俺の、日頃の指導の賜物だな!……なーんて、今、不破がここにいたら偉そうに言いそうなもんだ」



椅子の背もたれに、どっかりと体を預けながら口を挟んだのはカニさんだ。


各言う私は、その突然のカニさんの声よりも、不意に飛び出した不破さんの名前にドキリと心臓が飛び跳ねた。



「日下部ちゃんが活躍して一番喜ぶのも、不破だろうしなぁ」

「……っ、」



独り言のようなその言葉に、慌ててPCの画面を凝視することで精一杯、動揺を誤魔化してみたけれど。


逸る鼓動は、全く治まりそうもない。


いっそのこと耳を塞ぎたいくらいだけど、そんなことをしたら何かあったと言っているようなものだし、何より不自然だし……



「実際、不破くんが今日まで丁寧に指導してきたから、今の日下部さんがいますしね」


「そりゃそうだ。もちろん、日下部ちゃん本人の努力が一番だけどなぁ」


「当然。それは、大前提でしょう」


「…………、」