イジワル上司に焦らされてます

 


……………え?



「……だから、自分のこと触らせた、って?」

「…………っ!」

「ふざけんな」



と。

言葉と同時、突然、強く引かれた腕。


それと同時に身体が狭いエレベーターの隅へと押しやられて、背中には甘い痛みが走った。



「お前と連絡つかなくて……俺が、どれだけ心配したと思ってんだ」


「……っ、」


「今のは、仕事の話じゃねぇぞ。俺が男として、お前をどれだけ心配したかって話だ」



低く、唸るように吐き捨てられた言葉。


そのまま、わけもわからず視線を上げれば……私を相変わらず睨むように見下ろす不破さんの瞳と目が合って、思わず唇から、震える吐息が零れた。



「……バーカ」

「……っ、」

「似てねぇよ、あんなのと」



目の前には、心底不本意だと言いたげな、不破さんの綺麗な顔。


……また、ばかって言われた。


というか……あんなの、なんて。

クライアントのことをそんな風に言うのは、不破さんらしくないです。


心の中ではそう思うのに、1つも声となって外には出てくれない。

思わず不破さんの着ているジャケットを握り締め、身を固くしたままブラウンの瞳を見つめていれば、見慣れた唇が意地悪に弧を描いた。