イジワル上司に焦らされてます

 



そのまま無言で、オフィスのある階のボタンを押す。

そうか、そうだ。

そもそも、誰から急ぎの連絡があって、何のデータが見つからないのか不破さんに聞かなきゃね。

ごめんなさい、私ってばウッカリ。

というか、不破さん怒ってたのに、もうクールダウンしたっぽい。ああ、良かった。



「……あのなぁ」

「……すみません、誰からの連絡でした?」



だけど、そこはさすがに、恐る恐る。

不破さんの顔色を伺うように尋ねれば、長い溜め息を吐いた不破さんは、無言でエレベーターの【閉】ボタンを押した。


密室の、箱の中。

なんとなく重苦しい空気が私たちを包んで、もしかしてとんでもないミスをやらかしたのかと不安になった。



「……お前さぁ、何度も電話したの、気付かなかった?」


「え?」


「お前に、会社から何度電話しても繋がらないし。申し訳ないけどカジタの本社に電話したら、" 辰野は急ぎの打ち合わせ中で今は出られない為、コチラから折り返しますとのことです " とか言われるし…………当たり前に辰野さんも、携帯に出ないし」