イジワル上司に焦らされてます

 



「申し訳ありません、辰野さん……!企画書の件など何かありましたら、ご連絡ください。最優先で対応させていただきますので……!」


「あ……ああ、はい。こっちは、大丈夫です。スケジュール前倒しで進んでますし、とりあえず、今日頂いた企画書を上に話してから連絡させて頂きますので……」


「すみません、ありがとうございます。よろしくお願いします!」



そう言って勢い良く頭を下げると同時に、動き出した手。


いつの間にか解放されていたそれに何を思う暇もなく、私は手元に広がった資料を急いでまとめて鞄の中に押し込んだ。



「申し訳ありません。失礼いたします」



背筋を伸ばし、そのまま鞄を手に再度頭を下げると、ヒールを鳴らして足早にカジタ商事本社を後にした。


エレベーターに乗っている時間さえ惜しくて、無意味に何度も腕時計を確認してしまう。


元々、今日はこのあと、夕方入稿のデータがあって、それを終わらせたら別のポスターの修正を戻して。


でも、もしもそのデータが見つからないって案件が急ぎなら、それから手を付けないとマズイかもしれないし、その前に再度仕事の確認を…………