思わず、縋るように不破さんを見つめた。
だけど当の不破さんは、やっぱり、そんな私を見ることもせずに辰野さんへと視線を送り続けている。
「申し訳ありません。こちらの不手際に巻き込んでしまうようなこと」
再び淡々と放たれた、温度のない声。
こ、これは……怒ってる?
こんな風に不破さんが不自然に私を見ない時は9割型イラついている時で、そういう時には " 触らぬ神に祟りなし " 、という暗黙のルールみたいなものがあるのだ。
だけど、この場合は嫌でも触るしかないし……っていうか、忙しいのにデータを探して見つからなかったから怒ってるのかな……
不破さんはそういう時でも怒るというよりきちんと注意をしてくれるから、その理由で怒ってるっていうのは、なんだか腑に落ちないけれど。
なんにせよ、良くない事態が起きているのは確かだろう。
「す、すみません、不破さんっ。帰ってすぐに対応します!」
ガタガタと、落ち着きなく椅子を鳴らして立ち上がれば、そこでようやく不破さんの視線がこちらへと向けられた。
その視線を受けきらない内に、今度は私が辰野さんに向き直る。



