「……打ち合わせ中に、申し訳ありません」
するとそこには、黒のジャケットを羽織り、相変わらず見惚れるくらいに綺麗な笑みを浮かべた不破さんが立っていて、その姿を見た瞬間、胸に一気に安堵感が雪崩れ込む。
「ふ、不破さん…………」
「ウチの日下部に急ぎの連絡が入ってしまったので、失礼を承知で伺わせていただきました」
だけど、淡々と。
抑揚のない声で話す不破さんは、私には一切目もくれず、辰野さんを真っ直ぐに見つめている。
「……不破さん、お久しぶりです。すみません、僕が日下部さんのことを長く引き留めてしまって」
そして、その視線を真っ向から受け止めた辰野さんもまた、不破さんへと淡々と返事を返した。
「いえ、こちらこそ突然押し掛けて申し訳ありません。僕の方で対処できれば良かったんですが、日下部じゃないと依頼されたデータの場所がわからないという話になってしまって」
「え……っ」
けれど、次の瞬間には辰野さんの言葉に対する疑問の全てが頭の中から消し飛んだ。
私じゃないとわからないデータ、って。
つまりそれは私が共有サーバーにデータを上げ忘れたか、それとも何か不備があってデータが開けないとか、最新のデータがわからなくなってるとか、それとも……?



