突然の、その言葉に。やっぱり首を傾げれば、辰野さんが今の今までの余裕のなさを消し、とても艷やかに微笑んだ。
「あー…、一度でいいから。今度、2人でご飯とか行ってくれないかなぁ……もちろん仕事抜きに、男と女として」
「あ、あの……?」
「あ。すみません、今の俺の心の声、聞こえちゃいました?といっても、日下部さん宛だったから、別に聞こえてもいいんですけどね」
「……っ、」
そう言うと、頬杖をついたまま私を真っ直ぐに見つめる彼は、楽しそうに口角を上げる。
「俺、ワガママなんですよ」
そんな辰野さんから─── 目を逸らすことが、出来ない。
「欲しいものは、手に入れなきゃ気が済まない質(たち)なので」
「……っ!」
「その上、手に入れるためなら、結構、手段も選ばなかったりします」
いつの間にか、企画書の上で重ねられた手。
それがいつ重ねられたのかも気付かないほど私は動揺していて、完全に辰野さんのペースに乗せられてしまったのだと思い知った。



