「……辰野さん?」
「……っ、」
その表情の変化に、首を傾げた。
目の前の辰野さんの顔が良く見えるように、風で流れた髪を指先で掬って耳に掛けたら、今度は彼が驚くほど分かりやすく私から目を逸らす。
何……一体、どうしたの?
「あの……?」
「……っ。いや、なんていうか」
「……え?」
「日下部さんが……あまりに綺麗で……見惚れた、っていうか……」
「え……」
「……すみません、」
その、予想外の言葉と、あまりにストレートな物言いと。
普段、隙を見せない辰野さんの耳が赤く染まっていることに気付いてしまえば、途端、自分の顔が熱を持っていくのがわかった。



