「お客が敢えてこのカフェを選ぶ理由とか、このカフェに来たくなる理由をしっかりと据えないと、ここから先に話は進まないな」


「わ、私も……っ!私も、同じことを思いました……!だから、その部分を私がしっかりと考えて、辰野さんに提示していかないと、って……」



まるで、高鳴る鼓動に急かされるように。

思わず前のめりになって不破さんに声を投げれば、企画書に落ちていた視線が、ゆっくりとこちらへと向けられた。



「へぇ……」

「……っ、」



─── 吸い込まれるような、ブラウンの瞳。


羨ましいくらいに綺麗な瞳に見つめられ、思わず声を出すことも忘れてしまう。


そして同時に、緩やかに口角を上げた不破さんは、私を見てとても優しく目を細めた。



「よく、わかってんじゃん。偉い偉い」


「……っ、」


「クライアントは、どうしてもハード面(物理的なもの)の充実を前面に出して人を呼びたがるけど、それよりも重要なのはソフト(内面的なもの)の部分。いくら外見が良くて機能が優れてても、中身が伴ってなきゃすぐに飽きられるからな」


「……人と同じで、ですか」


「そう。さすが、俺の可愛い可愛い部下」