「では、次回の打ち合わせ以降ですが……できれば早めに明確なコンセプトの設定と、日下部さんの方からカフェの名前の案に併せてロゴの候補などを挙げていただけるとスムーズに…………」
時計の針が、聞き慣れない音をコツコツと鳴らしている。
改装中のカジタビルの最上階は、一足早く改装を終えて先月からカジタ商事の本社となった。
そのフロアの一角に備えられた打ち合わせスペースは酷く静かで、ここだけ外界から切り離されているみたいに感じる。
それにしても……チェーン店展開、か。
確かにプレッシャーではあるけれど、それはそれで面白そう。……なんて思ってしまうのは失礼かもしれないけれど。
辰野さんの話を聞く限りでは、お客様が心地良く休めるように広くスペースを取るとのことだし、ソファー席も女の人は喜ぶだろう。
……だけど、それだけじゃダメだよね。
それ以外にも、このカフェの " 売り " となるものを作らなきゃ。
ただ、店内が広いってだけじゃあ、ここに来る理由には弱すぎる。
お客様が、敢えてこのカフェを選ぶ理由。
お客様が、このカフェに来たくなる理由を。
……もちろん、ここから先を考えるのが私の仕事なんだけど。



