そう考えると、やっぱり不破さんは凄いなぁ……。
「でも、今回は僕も少し気合いが入ってます。この事業が成功すれば、また一つ、会社に新しい風を吹かせることができますから」
ぼんやりと、不破さんのことを思い浮かべる私を置き去りに、キッパリとそう言った辰野さんの声には一縷の迷いも感じられなかった。
以前、ウチの社長が「カジタの辰野くん、是非ウチに欲しいなぁ」なんてボヤいていたけれど、そう口にしてしまう気持ちも良くわかる。
普通なら新規事業を任されて大きなプレッシャーを感じているはずなのに、辰野さんの瞳はキラキラと輝いていた。
すごく前向きというか、モチベーションが高いというか……余裕があるというか。
こういう人が社内に一人いるだけで、きっと中の雰囲気や社員自体のモチベーションにも良い影響があるに違いない。
「なるほど……ということは、この1号店は絶対に成功させなきゃいけませんね。もちろん、チェーン店展開の話がなくても成功させなきゃいけませんけど」
「そうですね。……あ、でもプレッシャーには感じないでくださいね? あくまで1号店の結果次第の話ですから」
……その言葉が、すでにプレッシャーです。
とは、まさか辰野さんの前では言えるわけもなく。
とりあえず私は、精一杯の笑顔を貼り付け「そうなるように、努めさせていただきます」とだけ返事を返した。



