「流石、カジタ商事ですね。チェーン店展開まで考えていらしたなんて……梶田社長の意向ですか?それとも、辰野さんの企画ですか?」
心して、話を聞いていた分。
思った以上に冷静な声が出て、真っ直ぐに辰野さんを見つめれば、彼は私を見て柔らかに笑った。
「その、どちらもです。元々、梶田社長から " やるなら新しい事業としての展開を視野に入れて考えてみたらどうだ " というお達しがあって、そこからは僕が引き継ぎました」
「そうなんですね。梶田社長の相変わらずの視野の広さと決断力、辰野さんの営業さんの域を超えた企画力には " assort(アソート) " 一同、いつも驚かされます」
「いえいえ、企画力ではまだまだassortさんには敵いませんよ。特に……不破さんとお仕事をすると、いつも勉強になることばかりで」
ハハッと小さな笑いを零して、辰野さんが机の上に肘を乗せ、顎の下で長い指を組んだ。
" assort(アソート) "とは私が務めるデザイン会社の名前だ。
その名の通り、色々な人の個性と技術が詰め合わさったデザインオフィス。
それにしても、ここで不破さんの名前が出てくるとは、こちらもこちらで流石というべきか。
最近では新規事業の企画や、斬新な企画に携わるのは必ずと言っていいほど不破さんで、そういう彼の実力をクライアントも大きく買っているということだ。



