「まぁ、結局お前は焦り過ぎなんだよ。いつもそうだけど、張り切り過ぎて突っ走るの、お前の悪い癖だから」



言いながら、今度は呆れたような笑みを零す不破さん。


それは間違いなく上司が部下を諭すようなそれで、素直に「確かに、張り切り過ぎだった」と反省してしまった。


何より、誰よりもデザイナーとしての私を見ている不破さんの言葉だからこそ素直に受け取れるんだ。


入社して7年、新人だった私をデザイナーとして指導し続けてくれた、不破さんだから。



「まずは一度、ヒアリングしてから。それから、思う存分悩めよ。それに相手の意見を聞いたら、思いもよらない切り口が見えてくることもあるしな」


「……はい」



静かに頷けば、「まぁ、頑張れ」というぶっきらぼうな激励が落ちてくる。


それが、悔しいけど嬉しくて。


思わず笑みを零せば、駅の灯りが私たちの顔を明るく照らした。