『好きで憧れていたのに、自分が考えていたものと違う』
デザイナーを志していた人間は、社会に出た瞬間にその大きなギャップとぶつかるのだ。
名前から、いかにも華やかそうに見える職業の、現実との違いに。
そしてその現実に打ちのめされて、業界から離れていく人間だって少なくない。
「でも、しんどくないですよ?」
「……は?」
「楽しいです。だって、やっと夢だったデザイナーになれたので。今は一日でも早く、皆さんに追いつきたいと思ってます」
けれど、隣の彼女はそう言うと、花が咲いたような笑顔を浮かべた。
22時、コツコツと時間を刻む時計の針の音だけが、やけに鮮明に耳につく。



