イジワル上司に焦らされてます

 



「すみません。対応して頂いて、助かりました……」



不破さんの顔を見ることも出来ず、素直にそう言って頭を下げれば再び不破さんが口角を上げて笑った─── ような気がする。


ギィ、と、大袈裟に唸ったスプリング。

立ち上がり、離れていく不破さんの気配に私は慌てて顔を上げた。


そうすればタイムカードの前で足を止め、こちらを振り向く彼と目が合って、再びドキリと心臓が跳ねた。



「部下をフォローするのは、上司なら当然だろ。……っていうか、お前がカフェ案件任された時点で、そのことで頭ん中が埋まるってことは、こっちは最初からわかってんだよ」


「……っ、」


「で、肝心のお前は肩に力が入り過ぎ。一旦冷静になる為にも、今日は帰った方が懸命かと思うけど?」



そう言うと不破さんは、やっぱり口角を上げて笑って。

そのまま私の返事を待たずして、手に持っていた2枚のタイムカードをヒラヒラと揺らした後、タイムレコーダーの中へと有無を言わさず押し入れた。