「ここ、ガキの頃からのツレのお袋さんが趣味でやってる店なんだよ」
「そうなんですか……」
「初めに言っとくけど、中々、強烈だからな」
「強烈?」
「まぁ、入ればわかる」
そこまで言うと、意味あり気な笑みを浮かべてからドアを押し開けた不破さん。
すると、同時に大きなぬいぐるみ─── ではなく、可愛いゴールデンレトリバーが尻尾を揺らして出迎えてくれて、思わず顔が綻んでしまった。
「レノン。今日も店番、ご苦労さん」
「レノン、っていうんですか、この子」
「ああ、ここのマダムがJohn Lennonフリークなんだよ」
「マダム……?」
不破さんの口から思いもよらない言葉が飛び出て、つい首を傾げてしまった。
同時にレノンが大きく尻尾を揺らして、店の奥へと消えて行く。
そうしてしばらくもしない内にパタパタという足音が聞こえ、奥から花柄のエプロンをつけた女性が現れた。
「ごめんなさい、気が付かなくて! ─── あら。不破くんじゃない。あらあら、今日は美人さんと一緒なのね!」
─── マダム。
不破さんの言った言葉に納得してしまうほど品のある、それでいて親しみやすさも醸し出したふくよかな女性が、私たちを笑顔で迎えてくれた。



