イジワル上司に焦らされてます

 


「それを理解していない方とは、僕は仕事はできません」



キッパリと、そう言い切った辰野さんの目は真っ直ぐで、心臓がズキズキと痛みを増した。

あなたとはこれ以上仕事はできない、と。そう言われたのは確かで、ショックを受けている反面「やっぱり」なんて心のどこかで納得している自分もいる。

一度切れた信頼の糸。それをもう一度結ぶために、今の私には何ができるだろう。

未熟な私に、これ以上できることなんてあるの?

もしかしたら、ここで手を離して不破さんへと繋いだ方が辰野さんにとっても有り難いことなのかもしれない。

辰野さんだけじゃない。カジタ商事にとっても、その方が安心なのかもしれない。

だけど、私は。

今の私には、こんなことを言う資格もないし、言うべきではないこともわかっているけれど─── それでも。



「辰野さんからすれば、今回の仕事をこの先も私に任せるのはご不安かと思います。私とは、これ以上の仕事はできないと思われても当然だということも承知しています」

「…………」

「ですが、もう一度だけ……もう一度だけ、私にチャンスをくださいませんか? 私はどうしても、この仕事を通して一人でも多くのお客様に笑顔を届けたいんです」



そこまで言い切ると、真っ直ぐに辰野さんの目を見つめて強く拳を握った。

たった今、自分がどんな顔をしているかはわからない。

だけど、ここで手を離すわけにはいかないんだ。

私を信じてこの仕事を任せてくれた社長。そして、一番下っ端の私を今日までフォローしてくれたassortのみんな。

何より─── 一度任された仕事を、簡単に投げ出すなんてこと、絶対にしたくない。