「ここのブレンド、美味しいんですよ。なんとなく流行るのもわかるなぁって。あと、ウチの一番のライバルになりそうかもって最近社内でよく話してて」
「そうなん、ですね……」
「だから、日下部さんと是非、一緒に来たかったんです。中々、お誘いする機会もなかったので今日はラッキーでした」
その言葉に、思わず顔を上げて辰野さんを見つめた。
長い指を顎の下で組み、優しく目を細める辰野さん。
何を考えているのか……辰野さんが今、何を思ってそんなことを言ったのかもわからずに、私は一人、戸惑うほかない。
「あ、あの、辰野さん……」
「それで、日下部さんの話っていうのは」
「……え、」
「仕事の件で話があるから、社まで来てくださったんですよね」
だけど、唐突にそう切り出した辰野さんに、再び現実へと引き戻された。
相変わらず端正な顔立ちをしている彼の綺麗な瞳に射抜かれて、思わずゴクリと息を呑む。



