「日下部さん?」



黙りこくってしまった私に、辰野さんが気遣わしげな声をくれる。

その声を聞くと、再び情けなさが追いかけてくるように胸いっぱいに広がって、余計に顔を上げられなくなった。

ミスのことを話せば……彼は、きっと呆れるだろう。

それどころか、もう二度と、私とは仕事はしたくないと思うかもしれない。

こんなことになるなら、最初から不破さんと仕事がしたかったと思うかもしれない。

そう思うと心が虐められ、先の言葉が中々声になってくれなかった。



『お前の、ほんの少しの気の緩みでどれだけの人に迷惑が掛かるか、わかってんのか』



だけど、弱気になった瞬間、つい先ほど不破さんから言われた言葉が頭の中で木霊した。

何もかも不破さんの言うとおりだ。私の情けない気の緩みで、こんなことになったのだから。

一刻も早く、話さなければいけない。

私が犯したミスなのだから、私の口から、きちんと説明しなければいけない。

それに、辰野さんの貴重な時間をこれ以上無駄にするわけにはいかないのだ。