イジワル上司に焦らされてます

 


と。楽しそうに笑ったサルさんの後ろから、ヒョッコリと顔を出したのはデザインチームの最年長、蟹江(かにえ)さんだ。


通称 " カニさん " は、デスクに家族写真を何枚も並べている、うちの会社きってのマイホームパパ。


娘さんの話をし出すと止まらない45歳は、私を含めた3人をいつも上手に纏めてくれる、デザインチームのリーダー的存在だ。



「いやいや、私もわかりたくてわかってるわけじゃありませんから。仕方なく、わかってあげてる感じで」


「そう言いつつ、毎度毎度良くわかってんじゃん。ツンデレって言うんだよなぁ、ソレ?」


「だからそれは、毎回仕方なくですよ……っていうか、私がいつデレました?」


「わかんないって言いつつ、ちゃんとわかってて、それをなんとか隠そうとする……結構高度なデレ?」


「何それ、しつこくて気持ち悪い解釈」



吐き捨てるように言えば、不破さんは喉を鳴らして楽しそうに笑った。



「そう言われると、もっとしつこくしたくなるなー、どうするかなぁー」


「……フライパンの油汚れですか、不破さんは」



相変わらず、人をからかうことに楽しみを見出す不破さんを横目で睨み、キッパリと言い切って鼻を鳴らせば、向かいのデスクからサルさんとカニさんが同時に噴き出した。