「……良かったです、本当に。お客さんが増えて、ホントに良かった」
前を向き俯いてから、膝の上でギュウッと両手を握り締めた。
つい声が小さくなってしまったのは、情けなくも、私が心の底から安堵したせいだ。
たかが、パンフレット。されど、パンフレット。
クライアントには、依頼物が出来上がれば私たちデザイナーとの仕事は一旦終わりだという人も多いのが事実。
そこから先は自分たちの仕事で、私たちデザイナーはどうせ無関心な部分だろうと思われていたりもする。
だけど、思いは私たちだって同じなんだ。
作ったものが、ただのゴミになるのか、必要とされるモノになるのか。
お客さんの気持ちを捕まえるための一歩目は、私たちが作ったモノ次第。
そして、それによってクライアントに良い風が吹くかどうかも、私たちの責任だとも思っている。
クライアントと私たちは一心同体。
依頼された仕事だからと、クライアントの言う通り、ただ漠然と言われるがままに仕事をするべきではないのだと。
自分自身が売り込む商品に惚れ込み、『より良い物にするには、どうするべきか』自らが考えないと、良いものなんて作れないのだと教えてくれたのは……
他でもない、不破さんだ。



