「親友からデザイナーを辞めるって聞いた時、意地張って応援の言葉を送りましたけど、本当は凄く寂しいし……辞めて欲しく、なかった」
「…………」
ぽつり、ぽつりと話し出せば、今度こそ不破さんが黙り込む。
そんな不破さんに甘えて、私は胸に蔓延る想いを一つ一つ、剥がすようにして言葉に変えた。
「……だって、これまで一緒に励まし合って頑張ってきたのに。マキは、デザイナーという仕事が大好きだったのに。それなのに……こんなに、呆気無く辞めるなんて思わなくて」
「…………」
「その上、これで私の周りのデザイナーの友達は、全員結婚を理由に仕事を辞めました」
「…………」
「私だけ、なんです。私だけ、おひとり様で取り残されました。結婚したら、デザイナー辞めなきゃいけないの?どうして?」
「…………」
「こんなの、飲まなきゃやってられないです」
ギュッ、と、握り締めた手のせいで、不破さんが着ているジャケットには大きくシワが寄る。



