「……蘭、お前、」
「っ、わ、私だって……たまには飲みたくなる時くらい、あります」
「…………は?」
「だからっ、飲みたくなる時もあるんです……!」
不破さんの、艶のある声を遮るように言葉を投げれば、すぐに彼が眉根を寄せて私を見たのに気が付いたけれど……
まるで気付いていないフリをしながら下を向くと、彼の胸に額を押しつける。
「…………デザイナーやってた親友が、結婚するからって仕事を辞めることになりました」
思わず、震えた声。私は無意識に、不破さんが着ているジャケットを握り締めていた。
別に、コレは誤魔化そうとしているわけじゃない。これだって、今の私の本音だから。
「突然、だったんです。その子は、ずっと前から決めていたのかもしれないけど……私にとっては、突然だったの」
不破さんの、ことだけじゃない。
それは今日の私が、飲み過ぎてしまった、もう一つの理由だ。



