「……私、良い子に待ってましたよ」
「……は?」
「不破さんの言いつけ通り、ちゃんと良い子に待ってました」
真っ直ぐに、見上げた顔。
ブラウンの瞳が大きく見開かれたと同時、私を映して、一瞬揺れた。
あからさまな、その動揺を見た瞬間、すぐに頭の中には後悔の二文字が過ぎる。
……私、今、何を言おうとした?
誰のせいでドキドキしてると思ってるのか……なんて、まさか、そんなの不破さんに言えるわけがないのに。
だって、そんなことを言ったら、まるで私が不破さんのことを意識してるみたいじゃない。
からかわれて、バカにされて……イジワルばかり。
それでも私の、尊敬する上司。
私が憧れている、デザイナー。
不破さんに、私が恋愛感情を抱くなんて、そんなの絶対有り得ない。
不破さんは、ただの上司なんだから。
私の、上司なんだから。
だから私は、不破さんのことなんて……



