ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜

「よくご存知ですね。そうですよ。二階堂先生の挿絵を描いていました」

わたしの中でどうしても聞きたいことがぽろっと口からこぼれた。

「あ、あの。実は本を探していて」

「本?」

「二階堂先生の本を探しているんですけど、絶版らしくてどうしても読みたかったんですけど」

「本か。そうね、来週末、駅前で古本市があるみたいだけど。そこで見つかるといいわね」

「そ、そうなんですか! 古本市ならもしかしたら二階堂先生の本が見つかるかも」

「あなたに見合う本に出会えるといいわね。しかし、この絵を忘れずに気に入ってもらえるなんてね。作画冥利につきるかも。うらやましいな」

「あの、作者の方じゃないんですか」

「あたしは代理で売っているだけだから」

色紙には小説の表紙に描かれた絵をパステル調に仕立てた女の子と男の子が笑う絵があった。

たしか、これはわたしが楽しみにしていたシリーズものの小説の二人だったような。

「こ、これください」

値段は千円だった。

本物のわたしの大好きな絵に出会えるなんて、千円でも安いぐらいだ。

本物の絵を手にいれることができて嬉しかった。

茶色の封筒に色紙を入れてくれて、さらにポストカードもひとつ、入れてくれた。

「これ、サービス。二階堂先生の本があるかわからないけど、見つかるおまじないをかけておくわ」

「あ、ありがとうございます」

「いい出会いになるといいわね」

「は、はい。あ、あの、また絵が欲しくなったらここで売ってもらえませんか?」

「うーん、あたしも仕事の合間で売ってるからさ、気まぐれだから。またどこかで会えると思えば会えるんじゃないかな」

細い糸をたぐりよせ、ようやく生きがいが見つけられた、そんな気がしてきた。